出版社の仕事

発売前重版の意味とは?重版の部数や写真集に多い理由を元出版社の営業が解説

新聞広告や電車の中の本の広告で「発売前重版!」と大きく

書かれているのを目にしたことがある人も多いと思います。

本が発売する前に重版するということは、かなり多くの部数を

重版しているイメージがありますが、実態はどうなのでしょうか。

元大手出版社の営業が実体験をふまえて書きます。





発売前重版の意味とは?

発売する前に重版は、基本的には「売れている」、もしくは「売れそう」だからという理由で行う重版です。

「売れている」というのは、発売前にアマゾンで予約が多く入った場合です。

本は発売の一か月ぐらい前から、アマゾンに掲載されます。

アイドルの写真集や、芸能人のエッセイなどは、ファンの人が事前に予約をするのです。

出版社は、アマゾンやその他の書店に初回に何冊納入するのかや、在庫として何冊残しておくのかを、発売の2週間前までには決定します。

アマゾンでの予約が、初回納入冊数を上回りそうになると、まずは在庫として残しておく部数を追加で納入します。

それでも足りない場合に発売前重版となるのです。

「売れそう」な場合の発売前重版ですが、これは書店からの注文が殺到した場合です。

大手の出版社は基本的には、発売前に書店と初回納入冊数のやりとりをしません。

初回に何冊納入するかは、取次(問屋)に任せていることがほとんどです。

その理由は、大手版元は毎月新刊を数十冊~数百を出していますが、その全部を

全国に9,000店舗ある書店と、初回に何冊納入するのか? というやりとりを

すると膨大な仕事になってしまうからです。

書店から「この本は売れるから初回に○○冊入れてください」と言われても、

著者の地元の書店だったりする以外は、断るのが基本なのです。

ただそれでも、書店からの発売前の注文が出版社に殺到する場合があります。

書店が売れると踏んだにもかかわらず、取次が設定した部数が圧倒的に少ない時です。

こういった場合、出版社は「売れそう」と考え、発売前重版をするのです。

発売前重版の部数│写真集を例として

乃木坂46の生田絵梨花さんの写真集「インターミッション」は初版20万部で発売しましたが、発売の10日前に2万部の発売前重版を決めました。

写真集は1万部売れればヒット、というぐらいですので、初版もさることながら、重版部数もかなり思い切った数字です。

同じく乃木坂46の白石麻衣さんの写真集「パスポート」が30万部を超える超ベストセラーとなったこともあり、強気の初版と発売前重版の決断ができたのでしょう。

欅坂46の小林由依さんの写真集「感情の構図」も初版10万部ですが、発売前重版を15,000部しています。

発売前重版に意味を持たせ、戦略的に行った実体験

本の初版部数や重版部数は、出版社は基本的には発表しませんが、売れているものは別です。

なぜ売れているものの部数を発表するのかというと、それがニュースになるからです。

上述の写真集が発売前重版した際は、出版社はニュースリリースを出しました。

するとそれがYahooのトップに掲載されたりしますので話題となり、さらに売り上げが伸びていくのです。

この宣伝効果を利用した、戦略的な発売前重版を、出版社時代に経験しました。

ニュースリリースを出して、その本を話題にしたかったのです。

本当は初版で10万部が適正な部数のところ、9万部で発売します。

そして足りない1万部を追って重版するのです。

出版社としては一度に10万部を刷った方が経費がかからないのですが、プラスとなった経費を差し引いても、宣伝効果を得たい場合にこの戦法を使います。

まとめ

・発売前重版は、アマゾンの予約が予想より多い場合にする

・発売前重版は、書店からの事前注文が殺到した場合にする

・発売前重版はニュースになるので、戦略的に行うこともある