出版社の仕事

自費出版で書店に陳列するための初版部数と方法は?元大手出版営業が独白

本を出版したい、という夢を多くの人が抱いています。

自分の歩んだ人生を本という形で残せることは、とても幸せです。

本を出版することは社会的信用にもつながり、ビジネスを進める上でも、

ことがスムーズに運んだりします。

そこで多くの人が検討するのが自費出版です。

自費出版で書店に本を陳列してもらうための「初版部数」と「方法」を

元大手出版社の営業が独白します!





基本的には書店にまともに陳列しません

書店の入り口では、話題の本や有名作家の小説が平積みされています。

一等地である入り口での平積みは、作家が夢見る光景です。

書店の中を進んでいくと、背の高い棚と、その下に平積みのスペースがあります。

棚の前の平積みスペースは狭いので、激戦地です。

この平積みスペースを、出版社の営業が必死に取りにいくのです。

平積みと棚の売り上げ比率は、ジャンルによっても違いますが、

9対1か8対2です。

つまり、平積みされないと、お客様の目に触れることがほとんどありません

平積みさている本は衝動買いの対象となりますが、

棚に刺されている本は、目的買いの対象です。

あの作家の本が欲しい、お弁当のレシピが欲しい、といって棚の本を

購入するのが目的買いです。

この平積みスペースに、自費出版の本が並べられることは、まずありえません

書店員が並べる基準は、まず第一に入荷してくる冊数です。

50冊入ってきた本は、たくさん売れるから多く入荷してきたので、平積みします。

10冊でも5冊でも平積みします。小さな書店は、2冊でも平積みする場合があります。

ちなみに、新発売の本が初回に何冊入荷するかは、書店には決められません。

問屋である取次が決めます。書店に決定権はないのです(一部例外を除く)。

自費出版の本が流通するのは、ほとんど大きな書店です。

大きな書店での入荷冊数は、多くても5冊でしょう。

この5冊という冊数は、有名な小説家やそこそこ名の知れた

ビジネス書作家の本でも、初回入荷冊数としてある数字です。

その中で自費出版の本を優先して平積みすることには、まずありえないのです。

自費出版でも書店に陳列する方法

どうしても書店のいい場所で平積みしたい、という方がいましたら、

ひとつだけ方法があります

出版社との交渉が必要になります。

ここでいう出版社とは、ある程度、名の知れたところです。

自費出版を専門にしている出版社は除きます。

ひとつだけの方法とは、ここで多くのお金を払える人に限ります。

さらに、実用書やビジネス書のジャンルのみとなります。

自費出版は基本的に、自分でお金を払って本を作ります。

平均的な自費出版の部数は、1,000部~2,000部です。

ではこれが10,000部だと、出版社はどう思うでしょうか?

儲かる! 絶対にこのお客様(著者)を離してはいけない! となります。

ここから出版社との交渉が始まります。

「10,000部をしっかり流通させてくれるなら、本を出してもいい」と伝えるのです。

「流通」とは、有名な作家と同じ扱いをする、ということです。

出版社は、自費出版とそうでない普通の本のISBNコードという番号を

区分けしています。

まず、そこを区分けしないように交渉です。

自費出版ではなく、商業出版の扱いにするのです

次に本の装丁です。自費出版はあまりお金をかけずに作るので、

どうしてもダサい表紙になります。ここにプロのデザイナーを使わせます。

本の中身も、編集者としっかり打ち合わせを重ねます。

そして、次が最も重要です。

書店でのランキング上位に入るように、交渉です。

例えば、紀伊國屋書店新宿本店(日本で最も売り上げの高い書店)の

ビジネス書ジャンルで1位になりたいから、500冊をその店で購入します。

だから紀伊國屋書店新宿本店に500冊入れてください、といった交渉です。

実際にお店で購入する必要はありません。その500冊は出版社の倉庫から

著者であるあなたの自宅や会社に送ってもらい、出版社と書店の間は

伝票だけの操作になります。

書店では、ランキング1位の本なので、必ず数十冊は平積みされるのです。

このジャンル1位戦法で10,000部の全てを使うことは、

出版社の労力も多いのでできませんが、10店舗ぐらいの書店でなら

ランクインすることができます。

そしてさらに重要なのは、全国の書店に流通して半年から一年で、

流通した本のほとんどが、出版社に返品されます。

この返品された本は全て著者自身で買います、ということを言いましょう。

これですと、出版社に全く損がないのです。

まとめ

・自費出版の本は、書店でまともに陳列されません

・自費出版ではなく、商業出版にすることが重要

・10,000部以上を作り、自ら購入すれば商業出版にできる

・有名書店でランクインもできる