出版社への就職・転職

出版業界はオワコンだけど生き残れる理由│元大手出版社で現在はIT業界の立場から

出版社を退職して、外からみてわかったことがあります。

「出版はオワコン」です。

けど、生き残れます。

私は新卒で社員10名の零細出版社に2年勤め、大手出版社に転職し10年いました。

その後に一部上場のメーカーやIT企業でも勤めています。

オワコンだけど生き残れる、というのは出版業界を離れた客観的な目で、しかもIT業界という伸びている場所からの意見です。

では、その理由を書いていきます。



出版業界がオワコンといわれる理由

出版業界がオワコン…

そんなの知ってるわ! と言われそうですが、

出版社で働いていたり、出版社に入りたい! と強い気持ちで思ってしまっている学生は、分からなくなってしまいます。

出版売上、書店、新聞発行部数、すべて激減

出版社に勤務時代は新聞を購読していました。

日経と朝日です。

毎朝、新聞広告をチェックするのです。

他社を含めて、どんな本が宣伝されているのか? 情報収集です。

出版社を辞めてからは、新聞の購読もストップしました。毎月4,000円ほどの出費は大きいですし、ネットで情報は十分だとわかっていたからです。

すると、新聞広告に触れないので、どんな本が出ているのか、さっぱりわからなくなったのです。

これも当たり前ですが、わからなくても困りません。

新聞の発行部数は、激減しています。

2000年 5,370万部
2005年 5,256万部(97.8%)
2010年 4,932万部(91.8%)
2015年 4,424万部(82.3%)
2019年 3,781万部(70.4%)

()内の数字は、2000年との比較です。

2019年は、2000年の部数から30%も下がっています。

減り方のスピードが増しています。

書籍や雑誌の新刊情報は、新聞広告がもっとも充実しています。

新聞の購読者が減るということは、イコール、本の読者が減るのです。

また、書店数も20年前の半分になっています。10,000店を割りました。

読者と本との出会いの場が急速に減っているのです。

それは出版物の売上にも顕著に表れていて、ピークだった1996年の2兆6,000億円から2019年には1兆2,900億円になっています。

20年で半減です。

電子書籍を合わせると1兆5,400億円ですが、それでも1兆円が消失しました。

出版業界にいる人は、ヒットがでているから大丈夫、と心の奥底で思っています。

「FACT FULNESS」(東洋経済新報社)が2020年7月に90万部を突破し、「嫌われる勇気」は200万部の超ベストセラーです。

児童書でも「おしりたんてい」(ポプラ社)は初版50万部のおばけシリーズに成長し、「サバイバルシリーズ」(朝日新聞出版)は900万部を超えました。

コロナ禍の緊急事態宣言で多くの書店が休業を余儀なくされましたが、本を求める人が増えて、出版業界全体としては売上が伸びました。

プラスの点をあげれば、いくらでもあります。

ただ、いま書いたようなことは、毎年、いろんな書籍であることなのです。

ミリオンセラーは毎年発売され、妖怪ウォッチが盛り上がったり、ポケモンの本が売れたり、大きな災害の際に本に癒しや娯楽を求める人がいつでもいたのです。

出版業界にとっていいニュースは毎年起こっていますが、それでも売り上げは落ち続けている。

それが、出版業界人が見て見ぬふりをしている現実です。

出版社がそれでも生き残れる理由

売上が落ち続けているので、業界はもちろんシュリンクしますし、出版社の倒産も増えてくるのは間違いありません。

大手の出版社ではまだリストラの話はききませんが、大手新聞社はリストラのスピードをはやめています。

朝日、毎日、産経です。

では出版社が生き残っていける理由です。

それは、投資が必要ないということです。

これは昔から言われていて、いまの時代にはそぐわないのですが、出版社は編集者がひとりいて著者に本を書いてもらえば成り立ちます。

お金がかからないのです。

いま業界は毎年5%前後シュリンクしていますが、各出版社、退職する人が毎年いるので、人件費の負担が少なくなっています。

例えば3人が定年退職したとしても、新卒や中途で1名しか増員しなければ、大きなコストカットになるのです。

これはリストラとはいいませんが、人員の自然減によるコストの圧縮です。

つまり、本の売上が毎年下がっていっても、コストも下げられるのです。

なんとか生き残れる理由です。

また、これも昔からの出版業界で言われていることですが、出版は水商売です。

ベストセラーは中堅以上の出版社では、コンスタントに出るのです。

ベストセラーは、目安として10万部以上としましょう。

単純計算で、1,500円の単行本が10万部うれると、1.5億円です。

出版者には約1億円はいってきます。

売上高が50億円の中堅出版社では、1億円の売上は2%をしめます。

20万部の本がでれば、4%のインパクトです。

出版社は、大きな借金がなければ、10万部や20万部ほどのベストセラーが大きな売り上げとなるのです。

世間的には10万部を売り上げたとしても話題にもなりませんが、出版社にとっては大きいのです。

出版社の人間がこの文章を読んだら、「10万部の本をつくるのはたいへんだよ」と反論があるでしょう。

実は、ベストセラーの作り方、売り方はとても簡単になっています。


SNSの普及が出版社を救う

10万部の本を作れるかどうかは、新刊をたくさん出して、数打てばあたるといった戦略になってしまいます。

ただ、1万冊の本を10冊作るのは、簡単になっています。

それは、SNSの普及によります。

InstagramやTwitterで数万のフォロワーがいる、メディアではまったく取り上げられない有名人がいます。

そういった人たちが本を出すと、1万部や2万部が売れるのです。

Instagramで50万フォロワーがいる女性のはじめての著書は、ダイエット本で10万部を突破しました。

これはかなり売れた例ですが、SNSでフォロワーがいるということは、ファンをつかんでいる証拠です。

フォロワーが10万人いれば本が1万部売れる、という公式はありませんが、どれだけ濃いファンを獲得できているかを見極めれば、本を出しても部数が見込めるのです。

その見極めが楽になっている現象もあります。

それは、AmazonのKindle Direct Publishing(KDP)です。

電子書籍なので誰でも個人で出版できます。

世間的には無名でも、SNS上でファンがいるので売れます。

フジノジュンゴさんという方のKDPの本を私は購入しました。

2020年7月現在でTwitterのフォロワー数は4,500人ですが、とても面白いツイートをいつもしているので、ファンなのです。

 

こういった人たちが、SNS上には何千人もいます。

個人でKDPで出版して売れていれば、出版社も食指を伸ばします。

この著者は何万部売れるな、という目算がたつのです。

芥川賞や直木賞をとった小説家の新刊がでたとしても1万部も売れないなかで、有力な著者になるのです。

当然のことですが、出版社から紙の本を出版した際には、著者は自身のSNSで本を紹介します。何度もします。

キャンペーンもやるでしょう!

そこに新聞広告はまったく必要ありません。



IT業界も出版社のコンテンツ制作力は渇望

いま、メガヒットは生み出せない時代になっています。

それはテレビの視聴率をみてもわかります。

ほんの20年ほど前までは、視聴率20%超えの番組はいくらでもありました。いまは稀です。

講談社から独立した、「宇宙兄弟」の編集で有名な佐渡島庸平さんの本が現状をうまく表しています。

いまスマホによって、大衆は分断され、
会社や近所付き合いなどの繋がりも薄くなり、
人々は孤独になった。

SNSで繋がっていても、誰もが自分の居場所を探している。
だからこそ、いまの時代に合わせてコミュニティを
アップデートすることが求められている。

また、大衆が分断されたことで、
モノの売り方も根本から変わった。
テレビCMなどの一方的な情報は伝わらなくなり、
新商品はヒットしづらくなった。

ビジネスにおいても、
コミュニティを持っているかどうかが成否を分けている。

ちなみに、この本はAmazonのKindle Unlimitedという無料で読める本の対象になっています。

体験登録で、30日間は無料で使えます。

途中で解約してもお金はいっさいかかりません。

つまり、30日以内に解約すれば無料で読むことができます!

すぐに使えるので、試してみましょう!

Kindle Unlimitedを無料体験

「コミュニティ」がこれからの時代に、求められています。

誰もがコミュニティを作れるわけではありません。

「商売」にするには、知名度が必要です。

先ほどはSNSから著者が生まれるということを書きましたが、本からコミュニティをつくることができます。

コミュニティの代表例として、オンラインサロンがあります。

IT企業のDMM.comが運営するオンラインサロンが最大手です。

堀江貴文さんなどの有名な人のオンラインサロンもありますが、世間ではそれほど知られていない人のサロンも活発です。

出版社が作り上げた本から、著者やその本の内容にファンが付き、コミュニティも作っていく、という流れがあるのです。

オワコンではない出版業界について

講談社の2019年の決算は増益でした。

コンテンツの海外収入や電子書籍の販売の好調によるものです。

コミックがある出版社はまだまだ、コンテンツの電子化と海外収入で伸びていく道があります。

出版業界はオワコンと言われていますが、悲観する必要はありません。

出版業界にいて外から見ると、まだまだチャンスの宝庫です。

あらたなメディアであるSNSや、コミュニティと一緒に成長することが間違いなくできます。

出版業界よりオワコンと言われているラジオも、radikoの月間ユニークユーザーが1,000万人を超えるまでになりました。

動画の次は音声コンテンツとも言われていれ、Voicyといったアプリもユーザーが急伸しています。

出版社もラジオ局も、あらたなメディアとともに伸びることができるのです。

出版業界への就職を迷っている人は、未来を悲観せずに飛び込みましょう!

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