出版社の仕事

本の増刷・重版のタイミングは?印税率が上がるのかについても元大手出版社の営業が解説

本の増刷・重版のタイミングは、大まかにわけると3つあります。

発売「前」、発売「即」、発売して「しばらく」してからの重版です。

それぞれのパターンで、どのように重版をしているのかを解説していきます。





本の増刷・重版のタイミング「発売前重版」

本を出版するのは多くの人にとって夢ですが、も一歩踏み込んだ夢は「重版」です。

重版にもいろいろなタイミングがあり、それぞれについて書いていきます。

発売前重版

発売前重版は、アイドルの写真集でよくあります。

写真集は1万部売れたらベストセラーと言われています。

出版社は、初版でアイドルの写真集を8,000部印刷した場合、

アマゾンへの初回納入冊数を2,000部、一般の書店の初回納入を4,000部、

イベント用として1,000部、在庫として1,000部、といったように配本します。

発売前にアイドルがTwitterやファンクラブのメルマガで発売の告知をすると、

アマゾンに一斉に予約が入ります。

この予約冊数が2,000部を超えたりすると、追加で納入しなければなりません。

在庫で1,000冊は持っていますが、それをアマゾンで使うことになるので、

手元在庫がなくなるので、重版という選択をすることになるのです。

これが発売「前」重版です。

発売即重版

発売「即」重版は、発売日の当日や翌日に重版を決めることです。

発売日から一週間以内に重版を決めれば、「即」と言っていいでしょう

出版社の営業がどのように重版を決めるかというと、アマゾンや書店での

売り上げスピードが、予測を上回っている場合です。

例えばビジネス書の単行本だと、発売から10日間で初版部数の30%が売れたら

重版、といった基準が出版社ごとにあります。

このタイミングは本のジャンルによって違って、コミックだと、発売日から

一週間で初版部数の50%が売れていないと、初版が多すぎた、となります。

また、出版社としては重版のタイミングを遅くしたくないので、基準にしている

書店を設けています。例えば、紀伊國屋書店 新宿本店で発売日から3日間で

100冊売れたら重版、などといったものです。

ビジネス書などでは、アマゾンではよく売れているけど、リアル書店では

さっぱり売れていない、という場合もあったりし、出版社も重版に悩むところです。

発売してしばらく経ってからの重版

発売日から2、3か月経ってからの重版というのもあります。

よくあるのは、発売日から2か月後に新聞の書評欄に掲載されて売り上げが

いきなり伸びる、というパターンです。

書評や広告が無い本で、しばらく経ってから重版というのは、出版社の営業が

発売後も書店に対して粘り強く営業をして、陳列強化をしている証です。

料理本などの実用書では、しばらくしてからの重版、というのがよくあります。

本の増刷・重版の印税率

本の印税率は、ほとんどの著者が10%です。

大物の小説家などでは最大15%ぐらいもらっていますが、これはほんの一握りの

作家だけです。

有名なビジネスマンや起業家が著者のビジネス書でも、基本的に10%の印税ですが、

重版をしたら12%に印税率を上げることもあります。

また、30,000部を超えたら12%、50,000部以降は15%といったこともあります。

これも本当に一握りの、売れている著者だけになります。

本を書くことを考えている人や、出版が決まっている方で印税率を出版社に

交渉しようとする方もいると思いますが、その相談は、編集者にかなりの

労力を使わせることになります。

印税率は編集者の独断では決められず、編集部の部長かそれ以上、それに、営業部の

了承も必要になってきます。

営業部の了承が必要な理由は、収益の面も当然ですが、重版ロットが

変わってくるからです。

印税率10%なら最低1,000部から重版できるけど、12%にすると1,000部の重版では

赤字になる、といった計算になることがあるからです。

そうなると、最低重版ロットが1,500部とかになり、重版に二の足を踏むことにも

なりかねません。

著者にとって、印税率は上がるかもしれませんが、出版社が重版に及び腰になる

かもしれませんので、印税率の交渉はあまりしないほうが得策なのです。

まとめ

・本の増刷・重版のタイミングは大まかに分けて3つある

・発売「前」重版はアイドルの写真集に多い

・発売「即」重版は、発売日から一週間以内ぐらいのことを言う

・発売からしばらく経ってからの重版は、料理本などの実用書が多い

・重版、増刷の印税率も基本的に10%