出版社の仕事

出版に取次は不要なのか?問題点を元大手出版社の営業が解説

出版取次の危機が叫ばれています。

栗田出版販売の民事再生は2015年。

太洋社の破産は2016年です。

楽天が筆頭株主の大阪屋栗田も、厳しい状況です。

最大手の日本出版販売(日販)とトーハンも流通で協業しなければ

生き残れないまでになっています。

Amazonが取次を介さない、出版社の直接契約を増やし、

丸善ジュンク堂や紀伊國屋書店も同様です。

では、取次はもう不要でいらない存在なのでしょうか?

元大手出版社の営業視点で解説します。





取次が不要なのはAmazonだけ

取次の仕事は、全国の出版社の商品を全国の書店に配本し、

その代金を書店から回収し出版社に支払う、ことです。

出版社は全国に3,000社、店舗を構えている書店は約9,000あります。

各出版社が書店に宅急便で本とその請求書を送る。

書店は各出版社から届いた本の段ボールを開け、支払いをする。

これをやるのは不可能です。業務量が膨大すぎます。

どの書店も人員を2倍以上にしなくてはならないでしょう。

出版社も流通にかかる代金がかさみますし、支払いの管理も

数千の書店からのものを完璧にチェックするのは至難の業です。

これに返品もからんできます。

では、Amazonはどうか?

Amazonは1店舗なのです。

倉庫は10前後ありますが、本だけで2,000億円超の売り上げが

ありますし、返品もリアルの書店と比べたら格段に少ないのです。

出版社もAmazonに商品を直で卸すのは、一つの取次に卸しているような規模なので、

対応してもペイするのです。

つまり、リアル書店ではやはり取次が必要なのです。

取次の問題とは何か?

では取次の何が問題になっているかというと、

流通量が全盛期から激減(本の売り上げは1996年の2兆6,500億円が

ピークで2018年は1兆5,400万円)しているのに、

本の配達先が増えすぎているのです。コンビニの増加です。

そして、出版社からもらえる流通代金について、大きな変更は

ないのですから、儲けを削りながら商売をしているのです。

出版社も経営が厳しいので、支払い条件の変更にはなかなか乗りません。

取次が生き残る策は、儲けの少ない出版取次業を縮小し、

新たな事業を探すしかないのです。

書店は大型化やカフェ併設など、生き残り策がある程度、奏功しています。

取次に妙手はありません。ここが問題なのです。

取次は、経営が難しくなった書店を傘下に収めています。

トーハンはブックファーストや八重洲ブックセンター、

日販はリブロや文教堂です。

書店の売り上げを伸ばし黒字化数するのは、取次でも簡単ではありません。

爆弾を抱えてしまったようなものです。

【まとめ】

・取次は必要

・Amazonに取次は不要

・取次の問題は新事業を生み出せないこと